個人事業主から法人へ
法人化するのかしないのか
法人化…これは個人事業主の方なら一度ならずとも検討する課題ではないかと思います。
「まだそこまで利益が出ていないから、個人事業主のままでいいかな」
「かなり利益が出ないと、所得税より法人税の方が高いからなあ」
そう思って法人成りを先送りする…よくあることですね。
限られた時間の中で、何を優先するか、
事業を拡大してアグレッシブなスタンスでいくのか、家族が食べていけるだけで満足できるのか、それは人それぞれの価値観によります。
社長さんによっては「個人事業主時代の方が実際に残るお金が多かった」と嘆く方もいます。
そうならないためにも、一体何のために法人化するのか、よく考えたいですね。
設立の際に考慮すべきこと
建設業で法人設立することにした場合、建築一式工事(1500万円)を除く28業種の500万円以上の工事を受注することを目指したいものですが、そのために資本金の額を500万円以上にすることが望ましいと言われています。
なぜなら、建設業許可の取得には財産的要件というものがあり、お金のない会社が許可を得るのは非常に厳しいのです。会社の純資産は500万円以上であること、これがクリアできないと許可が基本的には下りません。500万円以上の預金残高証明書を銀行で発行してもらうこともできますが、タイミングによっては許可をとるまでに間に合わないことも考えられます。
※資本金の額は後から増資することもできます。株式会社・合同会社の増資の場合の登録免許税は
増加資本金額の7/1000になります。詳しくはお近くの司法書士事務所にお問い合わせください。
会社の目的
会社設立の際には定款(各会社においてその組織・運営・管理のあり方について定める根本規則) というものを作成します。会社の本店及び支店に据え置かれ、株主や債権者の閲覧・謄写等の対象になります。
会社法そのものを見てみましょう。
第二節 定款の作成
(定款の作成)
第二十六条 株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
2 前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
(定款の記載又は記録事項)
第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所
会社法 e-gov
ここの定款の絶対的記載事項である「会社の目的」に、建設会社の場合、建設業法に定められた29業種(国土交通省HPの業種区分リンク)の中から、具体的に業種ごとに記載することがお勧めです。○○業の請負及び施工、などと書けばよいでしょう。
29業種についての記事はこちら。
法人設立後建設業の許可を取得する際、もし定款に該当業種の言及がなければ、許可権者である行政庁はそこに理由を求めてきます。急いで許可を取りたい場合、追加の資料を加える必要性があるのは時間がもったいないですね。かと言って29業種すべて書けばいいのか、というとそういう訳でもありません。法人化して事業をどう拡大したいのか、よく熟慮することが求められます。
日本公証人連合会のひな形集
会社を設立したい、もっと大きな工事をして業務を拡大したいという方は、是非当事務所にご相談ください。お待ちしております。
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